聞いた話。

とある中国のビジネスマンが、日本の取引先を視察に来たそうな。

日本の取引先には、その会社の趣味でもって

「史記(といっても司馬遼)」
「十八史略(といっても陳舜臣)」
「三国志(といっても横山光輝。。じゃないと思う)」
「論語」
「老子」
「荘子」
「唐詩選」
などなどが本棚に収まっていたそうな。

日本のビジネスマンが中国の歴史や思想に傾倒していると知ったくだんの中国人、えらくおどろき、

さらに社員の説明に、また感動したそうな。

「日本人は中学・高校で史記と十八史略を修め、論語や老荘思想や杜甫・李白も習う。」
「なので、漢楚の戦いや玄宗楊貴妃、赤壁の戦いなどは、日本人の基礎教養になっている」
と。

中国人氏がえらく感心し、その感心の度合いがいささか過ぎていると感じだした頃、
中国人氏が語った言葉が、逆に日本人たちを寡黙にしたそうな。

彼は若い頃は、あの時代のなか、「下放」されていた。
(あの時代:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%87%E5%8C%96%E5%A4%A7%E9%9D%A9%E5%91%BD

(ついでに下放:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E5%B1%B1%E4%B8%8B%E9%83%B7%E9%81%8B%E5%8B%95

下放終了後北京大にはいったが、入学試験はなし。
というか、そもそも勉強なんてしてなかったので、試験しても無駄だったろうと。

中国人のくせに、項羽も劉邦も、劉備玄徳も諸葛孔明も、
「四面楚歌の声」も
「国やぶれて山河あり、城春にして草木深し」も、
「長安一片の月」も、
「帰りなんいざ、田園まさに荒れなんとす」も、

なーーーーーーーーんにも知らなかったのだそうな。



ウィキにこんな記述があります。
>下放を受けた世代は無学歴・低学歴。
>高等教育や研究活動が全中国で中断した
>1980年代以後の世代・文革前の世代と、下放世代の間に深刻な知識の断絶を生んだ。
>この世代はいま社会の主力だが、高等教育をうけた次世代がこの世代を追い越して政治や経済の指導層になる現象も起こっている。



その人はいまでも本国では一線を走るエリートの部類だそうですが、
陰にはいえない苦労もあるんでしょう。


コメント

せきやん
2010年12月5日23:09

ご無沙汰いたしております。
ドキッ!としました。
流石ですねー
この国の団塊の世代は「国やぶれて山河あり」
まさに灰燼の食い物さえない中で生きてきた特異な人種、
 仰ってる「下放」世代です。
 革命ならぬ「戦争のつめあと」を背負っています。
国家の要諦には国土の広さ、構成人口も「0」からの出発に誘因があるのかも知れませんー。
爺目に言わせれば平和がキーワードなんですけどー
今年も25日=600時間
何が出来ますかねー。
有意義な日々のみでお過ごし為されるといいですねー

どん太
2010年12月6日21:06

せきやんさま

こちらこそ、さいきん怠け者になっていて申し訳有りません。

>仰ってる「下放」世代です。
たしかに、団塊の世代の方々もまた、「下放」と同じように特異体験をなさった世代、ですね。

>有意義な日々のみでお過ごし為されるといいですねー

ありがとうございます。
そういきたいところですが、師でもないのに、あれこれ振ってくる年のようでわさわさと。。。
ここに書けない私事が多忙です。。。。

シゲ
2010年12月7日7:25

「下放」というのは知りませんでした。恐ろしい政策ですねぇ。知識と隔絶させられた世代というのがあるわけですか。文革は知ってましたけど、下放とは。同世代なだけに、ものすごくリアルに「無知」の恐怖を感じます。
恐怖ですよ、恐怖。

でも、この人が「エリート」なのは、ちゃんと「無知の恥」を知ってるからこそなんでしょう、たぶん。立派な方です。

しかし、日本も若い人では「ゆとり教育」、一般人的には「記者クラブ制度」で、必要な知識がキチンと頭に入ってない環境ですからね。まったく知らない事を、手がかりなく調べると言うことはできないわけですから、この「最初の一歩を奪われる」ということが、どれだけ恐ろしい事であるのか。そこを解っている日本人自体が、かなり少ないようにも思います。

「社会がバカばかりになる。」恐ろしい事です。

どん太
2010年12月9日2:59

シゲさま

>、この人が「エリート」なのは、ちゃんと「無知の恥」を知ってるからこそなんでしょう、たぶん。立派な方です。

ええ、私もそう思います。
それと、自国の教養にたいして、きっと愛もあるんだろうなと。
知らないのを恥じる、あるいは、知ることができなかった自分の時間を悲しむというのは。


>まったく知らない事を、手がかりなく調べると言うことはできない

これもほんとに。
TV見ない生活なもので、TVから主に情報(と判断の基準)を得ている人のものの見方、考え方が予想がつかないという困った状況にいるもので、「いかに若い人が知らないか」は、じつは実感がないのだけれど、想像はします。。。

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索