鞆の浦景観訴訟で。。。

①(さすがに鞆の浦くらいになると)景観利益は法律上の利益。
原告適格あり。

②(鞆の浦くらいになると)景観は公益である。

③一定の必要性、合理性はあっても、事業自体の必要性を肯定する合理性を欠く→裁量権の逸脱あり。


気持ちいいです。
だれかの答案みたい。(こういうのは答案の中にしか存在しないような気がしてました)

他の裁判所でも、下級審ならもっとどこでもかしこでも、これくらいがんがんじゃかすか、言ってほしいです。




あ、そっか!
政権変わったから、堂々いえるってことか?

記事はこちらhttp://www.yomiuri.co.jp/tabi/news/20091001-OYT8T00703.htm?from=nwla

判決要旨はこちら
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20091002-OYT1T00024.htm
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鞆の浦景観訴訟の判決要旨
 広島県福山市の鞆(とも)の浦の埋め立て・架橋事業をめぐる訴訟で、広島地裁は1日、県知事に対し、埋め立て免許の交付を差し止める判決を言い渡した。判決の要旨は次の通り。


 ◆要旨◆

 鞆町に居住している者は、鞆の景観による恩恵を日常的に享受している者であると推認され、法律上の利益を有する者に当たる。埋め立て免許が交付されれば、鞆の浦の景観利益について重大な損害を生ずるおそれがあると認められ、これを避けるためにほかに適当な方法があるとも言えない。したがって、上記の景観利益を有する者の訴えは適法である。

 広島県や福山市(事業者)が予定している対策は、鞆の浦の景観侵害を補填(ほてん)するものとはなり得ない。鞆の浦の景観の価値は私法上保護されるべき利益であるだけでなく、瀬戸内海における美的景観を構成するものとして、また文化的、歴史的価値を有する景観として、国民の財産とも言うべき公益である。

 しかも、事業が完成した後に、復元することはまず不可能となる性質のものである。これらの点にかんがみれば、事業が鞆の景観に及ぼす影響は決して軽視できない重大なものである。

 また、瀬戸内法等が公益として保護しようとしている景観を侵害するものと言えるから、政策判断は慎重になされるべきである。

 鞆町の主要道路は通常の道路と比べ、かなり劣悪な交通状況にあると言えるから、その改善の必要性は認められ、公共性も高いと言える。しかし、コンサルタントの事前の調査は不十分なものと言わざるを得ない。

 (事業が)鞆の浦の景観の保全を犠牲にしてまでもしなければならないものであるかについては、大きな疑問が残り、さらなる調査、検討が必要である。以上を考慮すると、県知事がコンサルタントの推計結果のみに依拠して埋め立て・架橋事業の道路整備効果を判断することは、合理性を欠く。

 船だまりの整備は漁業者の活動を格段に効率的で安全なものにするし、フェリー桟橋の整備は住民の生活環境や産業の向上に資するものと言えるが、これらを理由として埋め立て免許を交付することも、不合理な判断と言わざるを得ない。

 以上の通り、事業者らが事業の必要性、公共性の根拠とする道路整備効果などの調査、検討は不十分である。また、一定の必要性、合理性はあっても、事業自体の必要性を肯定する合理性を欠く。

 したがって、広島県知事が埋め立て免許を交付することは、行訴法の裁量権の範囲を超えた場合に当たり、これを差し止めることとする。

(2009年10月2日00時28分 読売新聞)

コメント

どん太
2009年10月2日1:35

記事はこちらに。。。こういうとき、行政は「活性化」だの「地域の再生」だのをかかげるんだけど、土木工事で活性化は、もうやめてくださいよ。土建で金がまわることを「活性」と呼ぶんでしょうか。


万葉の景観が残った「国民の財産」…鞆の浦判決 歴史的景観は国民財産というべき公益――。万葉集にも歌われた景勝地、広島県福山市の鞆(とも)の浦での公共事業を巡り、広島地裁で1日、周辺住民の「景観利益」を認める判決が出された。 計画策定から四半世紀の間、景観を守ろうと訴え続けてきた原告らは「公共工事のあり方に一石を投じる画期的判決」とたたえ、鞆の浦で映画「崖(がけ)の上のポニョ」の構想を練ったという宮崎駿監督も「今後の日本のために、いい一歩」と笑顔を見せた。 「県知事は埋め立ての免許を交付してはならない」。能勢顕男裁判長が判決の主文を短く読み上げて閉廷を告げると、傍聴席の原告らは「やった」と声を上げ、手を取り合った。原告団長の大井幹雄さん(69)は、「勇気ある判決、みんなで勝ち取ったもので、町づくりの使命感を感じる」と話した。 今回の裁判には、景観や行政訴訟に詳しい全国の弁護士らが原告代理人として加わった。同県出身の映画監督、大林宣彦さんらが設立した、計画に反対する住民を支援する会も応援。ユネスコの諮問機関・国際記念物遺跡会議(イコモス)が08年10月、「歴史的港として、たぐいまれなる重要性がある」として事業中止などを求める勧告を採択したことも、原告側住民を勇気づけた。 原告団事務局長の松居秀子さん(58)は判決後、宮崎駿監督に携帯電話をかけ、「全面的に認められました」と勝訴を伝えた。宮崎監督は「よかったね。これから大変だろうが、仲良く町づくりをしていってほしい」と祝福してくれたという。福山市長「事業は大多数の悲願」 広島県や福山市の幹部の間には、「まさか、差し止められるとは」と判決に対する驚きと戸惑いが広がった。 同県の藤田雄山知事は硬い表情で、記者の問いかけにも、「(感想は)ありません」と言葉少な。福山市の羽田皓(あきら)市長は「事業の早期実現という大多数の住民の悲願が受け止められなかったことは、非常に残念だ。事業は鞆町の再生・活性化には不可欠」とするコメントを発表した。宮崎監督「当を得た判決」 判決を受けて東京都小金井市のスタジオジブリで急きょ、記者会見した宮崎駿監督は「今後の日本をどうするかという時に、いい一歩を踏み出せる。鞆の浦のような文化財に対して、(県と市の埋め立て・架橋事業は)準備や計画があまりにもずさんだと指摘した判決は、当を得ている」とにこやかに話した。 宮崎監督は、4年前に鞆の浦の近くに民家を借りて2か月間、1人で滞在したことがあったといい、「生涯何度も味わえない体験だった。その時の体験が崖の上のポニョのヒントになった」と語った。景観利益に踏み込む 景観と開発を巡り、住民側が事業差し止めなどを求めた訴訟や仮処分申請では、原告側の訴える景観利益が認められにくい状況が続いてきた。 ホテル高層化が古都の景観を壊すとして、京都仏教会などが京都市長に建築確認の取り消しなどを求めた仮処分申請では、1992年に京都地裁が景観を権利と認めず、申請を却下。和歌山市の景勝地・和歌浦でコンクリート橋が歴史的景観を壊すとして、住民らが和歌山県に建設費の返還などを求めた訴訟でも、和歌山地裁は94年、住民らの景観権を認めなかった。 景観利益が法律上の保護に値すると最高裁が初めて認めたのは、東京都国立市の高層マンション建設を巡る訴訟の判決(2006年3月)。ただ、景観利益を認めながらも、「個人の権利のような明確なものではない」とし、原告住民らの請求は棄却した。 これに対し、この日の広島地裁判決は、歴史によって培われた景観から原告住民らが日常的に受ける恩恵を認めたほか、鞆の浦の景観利益を「国民の財産」とし、事業が完成すれば、「復元は不可能」とまで踏み込んだ。広島県が国に08年6月に申請した埋め立て免許の認可は、当初、2~3か月程度で下りる予定だったが、審査は今も継続されており、判決が国の判断にも影響する可能性もある。 和歌浦訴訟の原告団長を務めた関西大名誉教授、薗田香融(こうゆう)さん(80)の話「提訴した20年前は景観の価値は重視されなかったが、今は『開発よりも自然環境・景観の保護』が主流となった。今回の判決はその流れをさらに推し進めることになる」(2009年10月1日 読売新聞)

せきやん
2009年10月2日6:09

緑のみで歴史性に欠ける田舎の者の景観主張には緑のダムだけでなく
地下を数十年蠢く伏流水の清水も言いたい。
ご主張は視覚にある景観と脳みその思考にあるゆえよ~く解りました。
ただ裁判官も人の子。
官僚組織にあり出世したい。
これまでの戦争事案の憲法違反の判決の裁判官は
田舎の家裁に左遷が実態。
裁判官の卵の青法協スタート時代の職場に行くのイヤでしょう。
みんな子や親戚嫁さん側の家族の常識がありますモン。
ご明察のとおり政権交代!効果
浅草の六区ビューホテル隣の高層ビルももうすぐ着工
浅草寺から丸見え
やめてください。
お白州の向こうの・・・
お代官様・・どん太さま。

どん太
2009年10月2日12:05

せきやんさま

>景観主張には緑のダムだけでなく
地下を数十年蠢く伏流水の清水も言いたい。

ほんとに、自然その物の価値ではなく、「景観」に価値があるとして主張しなければならない現在は、まだまだ、道半ばですね。
その景観ですら、こうやって法的利益をみとめられるのは、わずかですから、なおさら。。


>ただ裁判官も人の子。
官僚組織にあり出世したい。

おっしゃるとおりですね。裁判官みな、多かれ少なかれヒラメ(両目が上を向いている)でしょう(それこそ、青法協以外は。。)。

ほんとに、民主党政権、いろんな場面で、よかったなあと実感してきています。
やっと道理が通る世の中になった。。


>浅草の六区ビューホテル隣の高層ビルももうすぐ着工

ひえ~~!
これもなんとかならないですかねえ。。。

わがほうも、「大船観音」というでっかい観音様の真ん前に、でかいマンションをたてる計画があり、市が推進、市民が反対で、大バトル展開中です。。

霧木里守≒畑楽希有(はたら句きあり)
2009年10月4日0:40

 どうも最近「ぽにょの浦」と呼んでしまいます。
 昨年のあの映画のヒットが無かったら、世論?は動かなかったかも?

どん太
2009年10月4日18:15

桐木りすさま

ぽにょの浦、なんですね♪

映画とかTVとかで人気になって世論が注目してくれるのは、なによりの味方ですよね。

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