ISBN:4062092204 単行本 福島 章 講談社 1998/05 ¥1,575

永山則夫と同日に死刑になった男(実名しらん)の鑑定医
だった福島さんが再構成した、この死刑囚の実録。

帯部分にとられていたのが、この死刑囚が言った言葉
「親は私をかわいがりましたよ。旅行にもつれていってくれたし。でもそれは、ペットをかわいがるようなもんなんです。
母親は俺が優等生だった内はおれを大変自慢にしてかわいがった。
それは、飼い犬が芸のできる血統書付きの犬だからです。
飼い犬がただの駄犬になれば、母親にとってはいらない存在になった」

この男、母が死んだのは父親のせいだと(不合理に)きめつけて、母の復讐をするために父を殺したというが。

母にそこまで愛着する一方、女は憎悪していたらしい。

この死刑囚、夫に似てます。

母から「よくできる自慢の息子」としての興味関心をもたれながら、愛情をもらえていない。
このふたつの違いを説明するのは、体験した人間でも難しいのだけど。

支配的な母親と、存在感の薄い父親のもとで、母=成人の女に強い恐怖と憎悪を感じている。(ただし、母には恐怖も憎悪も抱くことは禁止されているので、自覚できない)

その結果、同性愛者になる。

同性愛者といっても、「愛」せる能力があるわけではない。

愛をもらってない人間は愛情を出すことができないんですな。
どうも。

福島さんが書いてました。
彼はせいいっぱい好意的に(彼のみならず)永山の鑑定をしたんだが、のちに
その鑑定や後の著作につき、名誉毀損で訴えられた。

彼らとラポールを築けるかと思ったのは幻想で、彼らの心はやはり健常人ではなかった。
健常人がふつうに持つ思いやりや好意が、(足りないのでなく)欠如している、と。

少し前に読んだのでうまく書けないが、これは転機になったです。

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