ISBN:4620314129 単行本 大塚 ひかり 毎日新聞社 2000/01 ¥1,680

旦那がわしの本棚から引っ張り出してきたもんで、ついつい読み。

これに日本霊異記のエピソードが一つ載ってる。

生後10数年に渡って自立できず生活習慣も身に付かない息子をつれている母親が、息子連れで高僧の説教を聞きに行く。
僧は泣きいさちる子どもを「淵に鎮めて来い」という。
母はいくらなんでもそんなことできないと拒否するのだが、
説教をじゃまして泣きわめく息子を、とうとう淵に捨てる。

するとこの息子、すごい形相で「畜生、あと3年はおまえからむしり取ってやろうと思ってたのに」といって沈んでいくのね。
お母さんもうびっくりして。

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時に子は、母から奪うためにしがみつく。
母の人生を壊すために、自立もせず、ひきこもって、自分の人生を犠牲にしながら、親の人生を壊す。

何故?
親から奪われた(と感じてる)から。

というのがこのエピソードの裏にあるモノ、に思えます。

割を食ったと感じる子は、家族の成員のうち、自分から奪った奴にとりついて、奪い返す。
依存すると言う形でも。

そういうこともある、ということ、でしょう。
母が息子を捨てるのは残酷に過ぎるかも知れない。
現代人には。

しかし、生きていけない人ならともかく、生きていける人の本来の課題まで背負い込んだら、うまいこと策にはまってしまうだけのこともある。

斉藤学は、家庭内暴力を起こした子から「逃げろ」と親に諭す。
えさ(食事)をもっていくな。
生きられないと困るから、相応と思える生活費を払う他は、援助するな。

かの高僧の21世紀版ですな。

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